知らず知らずのうちにやっている?「事実」と「意見」の混同

スタッフブログ

こんにちは、ライターの花房です。
先日、上司からこんな記事を紹介してもらいました。

『なぜ「事実」と「意見」を区別して話せない人がいるのか。』
https://blog.tinect.jp/?p=62453

ある会社の採用担当者が面接時に見ているポイントをまとめているブログの、「事実と意見を分けて説明できるか」という点について掘り下げている記事です。私が読んだ記事を書いている方は、この採用担当者のブログを読んで、なぜ「事実」と「意見」を区別して話せない人がいるのか、という疑問を感じたと言います。

なるほど、まさに自分のことだと思いました。自分が今持っている情報を伝えるのでは回答として不十分だと判断し、ついつい主観=意見を加えて、それらしく伝えようとする。私の悪いくせであり、そこに「事実」と「意見」が混同してしまう原因があると……。

では、なぜ「事実」と「意見」を混同して伝えることがマズイのでしょうか?

「事実」と「意見」が混同してしまうのはリスク大?

それを分かりやすくお伝えするために、ビジネスにおけるこのような場面を例としてご紹介します。

(WEBサイトのデザイン制作の場面)
クライアント「もう少しスタイリッシュにしてほしい」
営業担当「かしこまりました」
・・・
デザイナー「先日提出したデザインどうでしたか?」
営業担当「もう少しスタイリッシュな感じにしてほしいとのことです。モノトーン調にするとか……。」
デザイナー「調整してみます」
ー翌日ー
デザイナー「修正してみました」
営業担当「お客様にもう一度見てもらいます」
クライアント「色合いは前のままでいいから、文字をもう少し細いフォントにしてみてほしい」

この営業担当は、クライアントからの「もう少しスタイリッシュに」という言葉から、おそらくこういうことだろうと予想して、「モノトーン調にするとか……」とデザイナーに指示を出しています。結果として、根拠のない予想は外れ、クライアントとデザイナーに無駄な時間を使わせてしまっています。このやり取りでの事実は、「もう少しスタイリッシュにしてほしい、とクライアントに言われた」ことなのですが、それだけではデザインをどのように修正すればよいのか不明確です。そこで、営業担当の個人的な意見を混同させてしまったようです。

「スタイリッシュとは、例えばモノトーン調にするなどですか?」「スタイリッシュとは具体的にどんな感じですか?」という質問をしていれば、「文字をもう少し細いフォントにしてみてほしい」という情報を、最初に確認できていたはずです。

このように事実と意見が混同すると、誤った情報として伝わってしまうということが起こり得ます。ビジネスの場面では特に、事実と意見を分けることが求められます。なぜなら先ほどの営業担当の例のように、相手の時間を無駄に奪うことにも繋がるからです。相手の信用をも失いかねません。そういう意味で、事実と意見の混同はとてもリスクが高いといえますね。

相手が求めていることは何かをくみ取る

そうならないためにはどうすればよいのでしょうか?
まずは、相手に分かりやすく伝えようと心掛ける、それが大切だと思います。そして分かりやすく伝えるためには、「相手が求めていることは何か」を正確にくみ取ることです。

と言いつつ、私自身もまだまだ完璧ではありません。これが難しいのは、相手はいつも面接官のように、事実だけを説明してください、などとはっきり言ってくれるわけではないからです。なのでまず、相手は事実が知りたいのか、あなたの意見が聞きたいのかを見極める必要があります。相手は事実が知りたいと思って聞いているのに、事実と意見を混同して伝えると、それがあたかもすべてが事実かのように捉えられてしまいかねません。逆に、あなたの意見が知りたい相手にとって、事実だけを並べていると「それは分かったから」とうんざりされてしまうかもしれません。

また、事実と意見をうまく織り交ぜた方がより伝わりやすいという場合もあります。事実には説得力がありますが、心に響かせるといった意味では弱い部分があります。意見はその反対で、説得力には欠けますが、心情を伝えることが得意です。それぞれが持つ強みをバランスよく組み合わせることで、説得力があり、相手の心にも響く伝え方ができるようになります。この場合においても注意が必要なのが、どこが事実で、どこが意見なのかを相手が誤解しないように伝えることです。

以前の私の記事にも書きましたが、『伝えたいことと、伝えるべきことはイコールではない。』なんですよね。肝心なのは相手のことを想像することで、それを意識的に行えば相手が何を求めているかが見えてくるはずです。

相手に分かりやすく伝えるために

相手が求めていることが何かさえ正確にくみ取ることができれば、あとはいかにして伝えるかです。伝え方のコツとしては、余計な部分を省くことです。ここから例文を交えてポイントを2つご紹介します。

曖昧な表現は避ける

まずは、「事実」なのか「意見」なのか分かりづらい、曖昧な表現は避けることです。
例えば、こんな会話。

上司「この前まとめた質問状の返事はいつもらえそう?」
部下「3日前にメールで先方に送りましたので、回答は近日中には得られそうです」

この場合、部下が近日中に回答が得られるとしたのは、先方からそのような内容の連絡があったからなのか、メールを送ったのが3日前だからそろそろ回答があるだろうと踏んでそう伝えたのかが曖昧です。もし先方から近日中に回答するという連絡があったなら、「近日中に回答します、と連絡がありました」と伝えるべきですし、いまだに連絡がない場合には、「まだ回答が得られていないので、確認してみます」と、率直に伝えるべきですね。

余計な前置きはしない

つぎに、上司の同じ質問に対して、部下の回答を変えたこんなパターン。前置きが長い部下の回答に注目ください。

上司「この前まとめた質問状の返事はいつもらえそう?」
部下「先方担当者が昨日まで出張で、なかなか返信できない状況にあったようなので、連絡を取るのにも苦労しましたが、つい1時間ほど前に、明日までには回答します、と連絡がありました」

上司からの質問の回答としては、「いつ」返事がもらえるかについて端的に答えるべきですね。つい余計な前置きをしたくなることもありますが、相手が何を求めているのかを考えれば、それは無意味な表現です。前置きが長くなればなるほど、「事実」と「意見」が混同し、伝わりにくくなりがちです。「明日までに回答します、と先ほど先方より連絡がありました。出張のため回答が遅くなったようです。」とした方がスマートで、上司も納得してくれるでしょう。

曖昧な表現、余計な前置き、答えるのが難しい質問に限ってしてしまいます。無意識のうちに、「それらしく」伝えようとしているのかもしれませんね。それがかえって伝わりにくくなっている。「それらしく」というのはそれこそ、自分の考えでしかないのですから。最悪の場合、相手に不信感を抱かれるかもしれません。しかし、この2つのポイントを意識して伝えることで、相手に伝わる精度が格段にアップします(体感済みです)。

実は……

「事実」と「意見」が混同してしまうのはリスク大? の例文で取り上げた営業担当は、以前の私です。知らず知らずのうちに、事実と意見を混同させてしまっていました。今でもあやうく意見を事実に混ぜようとしそうになることもありますが、意識することでそのことに気づけるようになってきました。気づいた時には、例文でも示したように、伝えるべき事実が十分でない可能性が高いので、客観的な情報を集めるようにしています。文章で伝える際には、基本的なことですが、書いた文章を読み返してみるということも大切です。みなさんも思い当たるところがあれば、ぜひ意識してみてください。