こんにちは、ライターの花房です。
前回の記事では、文章を書くうえで私がおこなっている3つの基本的なことについてお伝えしました。
その中で、「最初から上手く書こうとするのではなく、思いのまま伝えたいことを、だーっと書きなぐってみる」ということをポイントの一つとしてご紹介しています。
思いのまま書き出した文章は、たいていの場合、独善的な文章になりがちです。自分用のメモのようなものと思ってもらえば分かりやすいかもしれません。他者にそのまま見せるのはちょっと気が引けますよね。最終的にはその散らかったままの文章を整えていくわけですが、具体的にどうやって整えていくかについては前回触れていませんでした。
そこで今回の記事では、文章の整え方について詳しく解説していきます。
文章の整え方のポイントは、「削る」「並べ替える」「確認する」の3つです。順にみていきましょう。
余計な文章を「削る」
余計な部分が多い文章は、それだけで伝わりにくくなります。前回の記事の一節を例として挙げてみます。
ちょっとでも頭に浮かんだことはとにかく書いてみる。書かないと何も始まりませんからね。書けるようになるためには、実際に書くしかありません。だから、批判とか、どう思われるかを考えずにまず書いて、そして伝えたいことを全部出しきったら、そこから文章を整えていけばよいのです(文章の整え方については次回の記事で詳しく書きます!)。
公開している記事では太字の文を削っています。「書けるようになるためには~」の文は、それがあることで冗長になってしまいますし、カッコ書きの文は、ここであえて伝える必要はなさそうです。
そんな自分も含め、やたらと長文を書こうとする人がいますが、長文にしようとすればするほど余計な文や語が入ってしまうものです。長ければ相手に伝わるかというと、そうではありませんよね。140文字以内でも人の心を動かせることはTwitterが証明してくれています。
補足としてもう一つお伝えしておくと、「~という(こと)」を削るとよりスマートな文章になります。逆に「~という」を連発している文章は野暮ったく感じられます。
- 余計な文章を削るということは、それだけ伝わりやすくなるということでもある。
- WEBサイトは作ったら終わりということではありません。出来てからが本当の勝負です。
これらの文または文章は、「という(こと)」を削ったとしても問題なく意味が通じます。そういうときには思い切って削りましょう。
ポイントは、本当にその文章は必要か?という視点をもつことです。
文章の繋がりを意識して「並べ替える」
思いつくままに書いた順番がそのまま相手にスムーズに伝わる順番であるとは限りません。まず、結論は最初にもっていきましょう。
本記事では、
そこで今回の記事では、文章の整え方について詳しく解説していきます。
文章の整え方のポイントは、「削る」「並べ替える」「確認する」の3つです。
と、冒頭で結論を述べています。
こうすることで、この記事ではこのあとどんなことが書かれているか、読み手が想像しやすくなります。読み手に心の準備をさせるわけです。最後まで読まないと何について書かれているか分からないような構成は不親切といえるでしょう。小説であればそれこそが面白いとなるのでしょうが、WEBコンテンツでは途中で離脱されてしまうかもしれませんね。
結論のあとには、それを補足するための「理由」を並べます。そこでは具体例を織り交ぜることがポイントです。それはなぜか。
本記事の結論は、
文章を整えるときには、「削る」「並べ替える」「確認する」ことが肝要である
です。
その理由は、
「削る」「並べ替える」「確認する」ことで、読み手により伝わりやすい文章になる
から。
もし記事がここで終わったらいかがでしょうか。「削る」こと、「並べ替える」こと、「確認する」ことに対するイメージが湧きますか? で、どうやるの?とツッコみたくなりますよね。説得力にも欠けます。
たとえば「削る」についてなら、先に説明したような感じで何かしらの例文を並べて、余計な文章を削る前と後の変化の度合いをみせてあげる、といった工夫が必要です。具体例があるのとないのとでは読み手の理解度が変わってきますからね。
結論→理由→具体例。抽象的な内容から徐々に具体的な内容に流れていくイメージを心掛けてみてください。この流れを意識して文章を並べ替えると、自然と論理的な文章、伝わりやすい文章に近づいていくはずです。
誤字・脱字、言い回しを「確認する」
余計な文章を削ぎ落として、結論・理由・具体例の順に並べ替えたら、最後に細かい確認を入れていきます。
まずは誤字・脱字などの基本的なミスがないかをチェックしましょう。せっかく論理的で分かりやすい文章が書けているのに誤字・脱字が多いと、読み手は気になって読み進められなかったり、文章自体に信用性がないのではと感じてしまったりする可能性があります。校正ツールを活用することである程度の誤字・脱字は防げるようになるかもしれませんが、それでも完全とは言いがたいです。人間の目で確認するクセをつけておきたいものですね。
主語と述語のねじれ
またそもそも、機械的な校正では誤りを見抜くことができない文章表現があります。「主語と述語のねじれ」はその一例です。主語と述語のねじれとは、文の主語と述語が食い違っている状態を指した言葉です。
こちらの文を読んでみてください。
当社は物販事業で培ったノウハウをもとにWEB制作事業を立ち上げ、 WEBサイトを作りたいという情熱をもった方の本気の想いをカタチにするのがミッションです。
言いたいことは分からなくはないが、何かヘンだな……。そのような印象を持たれたのではないでしょうか。
こちらの文の主語は「当社は」で、述語は「ミッションです」です。主語と述語の関係がねじれてしまっていて、文として成り立っていませんよね。
当社は物販事業で培ったノウハウをもとにWEB制作事業を立ち上げました。我々のミッションは、WEBサイトを作りたいという情熱をもった方の本気の想いをカタチにすることです。
たとえばこのような表現に変更すれば、主語と述語の関係は保たれ読み手にもスムーズに読んでもらうことができそうです。
主語と述語が食い違った文が出てくるたびに、読み手は「何かヘンだな……」を繰り返し、内容を理解するのに時間を要するだけでなく、読むリズムも損ないます。正しい情報をいち早く得たい読み手にとってはストレスでしかありません。上の例のように一文が長い場合は、主語と述語がねじれやすいので特に注意が必要です。
あわせて、同じ表現を何度も使ったり、二重表現になっていたりする文章にも気を付けたいところです。
同じ表現の頻出
私は自社サイトなどで販売している節句商品の紹介文を書いたりすることがありますが、たとえばその商品の特徴が小さくて可愛いことだったとします。「小さくて可愛い」という表現が同じ商品ページ内にたびたび出てくるケースを想像してみてください。なんだかクドくて、読みにくそうではありませんか。
そこで私は、「小さい」をコンパクト、手軽、ころんとした、「可愛い」を柔らかい、愛らしい、「雛人形」をお雛様(おひな様)、といったぐあいに言い回しを使い分けながら書くようにしています。そうするだけで表現の幅が広がり、読みやすさの向上にもつながるのです。
同じ表現を何度も使ってしまっている、そんなときに便利なのがこちらの類語辞典です。機会があれば活用してみてください。
Weblio類語辞典:https://thesaurus.weblio.jp/
二重表現
二重表現は、たとえば「受注を受ける」という表現です。「受注」には注文を受けるという意味がありますので、「受ける」のところが重複しています。正しくは、受注する、もしくは注文を受けるですね。「一番最後に」や「約30分程度」などもその一例です。「一番最後に」は、最後自体がもっとも後という意味なので、「一番」と「もっとも」が重複していますね。したがって、「最後に」とするのが正解。「約30分程度」は、約と程度が同様の意味です。どちらか一方を使うのが正しいです。
このような二重表現も文章に違和感を抱く原因になるので、誤用しないように注意してみてください。
いろいろと書きましたが、文章を確認するときに最も大切なのは、前回の記事でもお伝えした「時間を空けてから再度チェックする」ことです。仕事の成否を分けるような重要な文書であればあるほど、時間をかけてでもおこなうべきでしょう。
まとめ
実際にやってみるとお分かりいただけるかと思いますが、何もない0の状態から書くのと、500文字の文章から100文字削ってちょっと整えるのだったらどちらが簡単ですか?
書きあぐねている時間があれば何でもいいからとにかく書いてみましょう。そして、目の前に広がった文章を読み手に伝わるように整えていくのです。はじめは上手くいかないこともあるかと思いますが、繰り返しておこなえば精度とスピードはおのずと上がっていきます。今回解説した3つのポイントを意識してぜひ試してみてください。