初めてのインタビューを乗り切る!取材のやり方&記事の書き方【後編】

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こんにちは、ライターの花房です。

2021年、また新しい年が始まりましたね。昨年末にアップした前回の記事では、インタビュー初心者に向けて、「インタビュー記事の取材のやり方」についていろいろと解説をしました。

それでは、年をまたいで後編にいってみたいと思います。

今回の記事では、インタビューした内容をどうやって記事にしていくかについて、私なりに解説していきます。

執筆はあくまでオマケ

これから読んでいただく方に早速爆弾を投下するようですが、インタビュー記事に関しては「執筆はあくまでオマケ」。これが私の持論です。インタビューでめちゃくちゃいい情報が取れたなら、誰でもそれなりに読む価値のある記事が書けると思っています。取材で記事の良し悪しの95%は決まる、と言っても大げさではないはずです。

そのことを頭の片隅に残しておいていただきながら、ここからは残りの5%のお話をします。取材がパスタの調理だとしたら、記事の執筆は、その仕上げとしてかけるオリーブオイルくらいに思ってください。

インタビュー記事の書き方

書き起こしする

まずは取材時に録音した音声データをもとにインタビュー内容をすべて書き起こしましょう。「すべて」というのがポイントです。取材の初めにおこなったアイスブレイクの会話、インタビュイーがぼそっと呟いた一言、質問からやや脱線したような回答まで含め、そのまますべて書き起こします。データ起こしを侮ることなかれ。意外と掘り出し物、読者にとって有益な情報が見つかるものですよ。

この段階では、記事としての流れを意識する必要はありません。素材を目に見える形に変える、これができれば十分です。

アウトラインを決める

取材で質問した順番に沿って記事を書いていく。これが最もラクなやり方というのは言うまでもありません。しかし残念ながら、インタビュイーはいつもこちらが考えた構成どおりに答えてくれるわけではないのです。インタビュー中は当然のように、話があっちに行ったり、こっちに行ったりします。

書き起こしたてホヤホヤの文章にひととおり目を通してみてください。「この質問と回答は最初にもってきたほうがよさそうだな」「この質問とこの質問はまとめて一つの項目にしたほうがいいな」といった具合に、修正したい箇所が必ず出てくるはずです。

インタビュー記事だからとって、聞いたとおりに書かなければならないものではありません。記事としてわかりやすい展開はどうか、読者が違和感なく読めるのはどういう流れかを考えながら、ざっくりとしたアウトライン、記事の大枠を決めていきましょう。その際、「起承転結」を意識して行うとストーリー性が生まれ、内容がよりわかりやすくなります。

起(導入)…その人自身について
承(続き)…苦労した経験など
転(展開)…その人なりの考えなど
結(結論)…今後の目標など

読みやすいように整える

アウトラインが決まったら、それぞれの枠に合う文章を当てはめていきます。
当てはめた文章の一つひとつに目を向けてみると、「同じようなことを繰り返している」「エピソードの時系列がバラバラだ」ということに気づきます。会話では違和感がなくても、文字に起こすとなんだか読みにくい。そのような部分を整えていきます。同じことを繰り返しているものはカットし、エピソードの時系列は古いものから新しいものへと順番に繋がっていくように整理しましょう。

それともう一点、会話でありがちな「主語の省略」にも注意を払ってください。インタビューの当事者は、その場の空気感でお互いが何について話しているのかだいたいわかっています。しかし読者はその場にはいません。文字を頼りに理解するしかないのです。主語が省略された文章だと、「これは何について言っているんだろう?」となってしまう可能性があります。
全部書き終えたら、自分が執筆した記事を、初めて目にする読者の気持ちになって読んでみることが大切です。

必要に応じて脚注を入れる

また、取材した内容の中にはむずかしい言葉や専門用語が出てくる場合もあるでしょう。そういうときは脚注を入れましょう。
たとえばこんな感じです。

アパレル部門の統括責任者を任されるようになった特に最初のころは、何度も壁にぶち当たりましたが、その前に5年間MD(※)として働いた経験が生きましたね。たとえば、‥‥‥
※MD…マーチャンダイザーの略。商品開発や販売に関する計画管理、予算管理といった業務に携わる者のこと

例の「MD」は、一般的に使われる言葉ではありませんよね。記事のターゲットがアパレル関係の方限定であれば特に気にしなくてもよいかもしれませんが、そうでないのであれば、読み手が理解しやすくなるような配慮が必要です。脚注はどうも邪魔くさいという場合には、別の平易な言葉に置き換えられないか検討してみてください。

人柄を表す

インタビュイーが語っているかのように記事を書く「一人称形式」の場合は、インタビュー中に感じられた相手の雰囲気や人柄を表現するのがコツです。会ったこともないけれど、そこに書かれている文章から、その人の人となりが伝わってくる。そんなところを意識しながら、言葉を選んで文章を整えてみてください。たとえば要所で、「(笑)」や「……」を入れるのもひとつの手です。そうすると感情が伝わりやすくなり、面白みが増します。ただし多用するのは、読みにくさと不信感に直結するので避けてください。また、無理やり入れようとする必要もありません。目安としては、記事内に1、2回です。

掲載してもよいかチェックする

特定の人、物を非難するような内容が含まれる場合には、その取り扱いには充分注意する必要があります。あえてそれを記事に盛り込む必要があるのか、今一度考えてみてください。その記事は何のために書かれるのか。常にそのことを意識しながら、執筆・編集をおこなうことが肝要です。
手っ取り早いのは、インタビュイーに掲載してもよい内容か直接確認することです。こちらとしては面白いと思って書いていても、「それは知られたくない」と言われてしまえば掲載することはできません。インタビューの際に、掲載NGの内容がないか確認が取れていたら一番いいですね。

また当然ですが、誤字脱字、文字数の過不足がないように細かいチェックもお忘れなく。

それでも「5%」に全力を注ぐ

この記事の冒頭で、執筆はオマケ、5%、オリーブオイルだと申し上げました。オリーブ農家さんやプロの料理人から怒られるのを覚悟しています。しかし、パスタが本当に美味しくなるのは、香りのよいオリーブオイルを最後にひとかけするからだとも思うのです。そのままでも十分に美味しいパスタですが、なんか味気ない……。そこに、オリーブオイルを垂らす。「味を調(ととの)える」なんて表現をしますがまさにそれと同じで、執筆することこそが、美味しいを「さらに美味しい」、面白いを「さらに面白い」へと変換する術ではないでしょうか。それが付加価値であり、記事を書くからにはそこに全力を注ぐべきだと思います。

さいごに

インタビューをするといろんな気づきがあります。インタビュイーの発言が人生を振り返るきっかけになったり、自分の明日の活力になったり。本筋から逸れた話が何かの大きなヒントになることもあるかもしれません。聞いていて「なるほど!」と思ったことはそれがそのまま、記事を書くための材料になり得ます。自分がそう感じたということは、他の人にとっても同じように「新しい発見」になるのかもしれない。そんな視点が記事を書くときに生きてきます。

取材は人生を豊かにするもの。そして記事は、豊かさを伝達するツールです。インタビュー取材をする機会があれば飛びついてください。

そういうわけで、取材・ライティングを依頼したいという方、企業様がいらっしゃれば、ぜひ私にお任せください。飛びつかせていただきます。ご相談お待ちしております。