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雛人形の生地をデザインする話

皆様、お久しぶりです。デザイナーの宮脇です。

最近は社内の商品開発の仕事が多いので、今回はその事について話していこうかなと思います。
中でも自社でプロデュース、販売をしている「木目込み人形 ぷりふあ」の衣装に使われている生地のデザインについてです。
私は今まで、生地のデザインをしたことがなかったので結構苦戦しました。初めてやってみて気を付けた所や気が付いた所をまとめてみましたので、オリジナルパターン生地を作ってみたいという方の参考になれば嬉しいです。

用途に合わせて、デザインの方向性を決める

デザインを始める前に、生地の用途を踏まえて、デザインの方向性を決めていきます。
生地の用途は、デザインのサイズ感の目安になるのでしっかり決めていきます。今回の場合は自社のとても小さい雛人形に使うので、それに合わせて全体のパーツのデザインを小さくしていきます。用途を考慮せずに制作すると、場合によっては何がデザインされているか認識できなくなってしまったりするので気をつけなければなりません。一方で人が着る洋服の場合は、生地を使う面積が大きいのでその分自由度が高くなり、デザインの方向性に合わせてパーツのサイズ感などを変えていくこともできるかなと思います。

デザインの方向性は見ている人にどんな印象を与えたいかで変わってきますね。「和の印象が強い雛人形に洋風テイストを取り入れてモダンな雰囲気にしよう」など、出来るだけ細かく決めるとデザインをするときに迷わずに済むかなと思います。それといくつか参考画像があると、色味なども決めやすいです。パターンイラストの雰囲気を調べていく中で、手書き風がいいなと思ったのでその要素も入れていきます。また雛人形に使う生地であることと、初めて自社オリジナルで作るという点から、王道の花柄がいいのではないかという結論なりました。これで方向性がしっかり決まったので、次はデザインに移っていきます。

デザインしていく

何に使うかやデザインの方向性がまとまったら、生地のデザインをしていきます。まだイメージがぼんやりとしているといった方は、自分のやりやすい方法でいくつかラフを書いていくといいかもしれません。私の場合は方向性がしっかり決まっていたので、デザインを作りやすかったです。出来上がったデザインはこちらです。


使ったソフトはAdobe製品のFrescoとIllustratorです。生地メーカーさんによっては、使用ソフトや提出データの指定があると思いますのでそちらは事前に確認しておいたほうがいいですね。

パーツを作っていく


私はIllustratorで絵を描くのが苦手なので、パーツのデザインにはFrescoを使用しています。上記で決めた方向性に沿って淡い、優しい、かわいいといった女の子向けのデザインにするために、Frescoが得意な水彩風にチャレンジしてみました。お花を描き、いくつかカラーバリエーションを作ってPNGで画像として保存します。雛人形の衣装に使用するので、殿と姫用の生地がそれぞれ必要になってきます。なのでカラーバリエーションを作るのはとても大事ですね。

Illustratorでパターン化する


先ほど作ったパーツをIllustratorに貼り付け、実寸大で配置を決めていきます。配置は後から微調整するので、ある程度で構いません。配置が決まったらパーツをまとめて選択し、スウォッチに入れてパターンを作ります。この時に画像の場合は埋め込み画像にしておかないとスウォッチに登録できないので、要チェックです。パターンについては過去に紹介しているのでそちらを参考にしてください。


パターンオプションを開いて全体を見ながら配置の微調整をしていきます。意図していない空間がないか、パーツが重なっていないかなど、細かなところをしっかり確認しながら調整していきます。調整出来たら背景に色を付けます。色違いを作る時はパターンを複製して、パターンオプションで画像を再配置し埋め込み画像にすると位置もズレないのでお勧めです。

パターンができたら実寸大で印刷して柄の大きさを確認します。実際のものに当てはめてみるとよりイメージしやすいと思います。小さな雛人形に使う生地なので、どこを切り取っても色の偏りが少なくなるように、また花柄だと分かる様に調整しました。

後は、PANTONEやDIC等による色指定の資料とメーカーさんから指定されたデータに直して提出。サンプルを見て問題がなければ、発注を掛けて、製品にして終わりです。もしサンプルを見て気になる箇所があれば資料にまとめてメーカーさんと相談します。私のデザインの場合は、凹凸があるちりめん生地に印刷したときに、柄が少し見えにくくなってしまったので、再度色指定していただきました。使用する生地によって変わってきそうですね。

まとめ

今回気を付けた点は、
・販売したいイメージの方向性に沿ったデザイン
・どこを切り取られても印象が変わらないように色味をまとめる
・使用される面積が小さいので空間に気を付けて配置する
です。方向性に沿ったデザインは、何を制作しているときでも意識しますね。残りの2つは、小さなものに使う生地デザインやパターンデザインの時に意識することだと思います。ただ色味に関しては方向性によって変わってくると思うので、初めのヒアリングがとても大事になってきますね。


初めてで苦戦したところもありますが、デザインをして、実際の生地になって、雛人形の衣装として製品になっているのを見ると達成感がありますね。お客様からかわいいとレビューを頂けたり、SNSに写真が載っているのを見ると、「デザインしてよかったな~」と、とても嬉しく思います。

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