こんにちは、シネマトグラファーの田中です!
最近の私のお仕事は、商品撮影や商品のブツ撮りや商品の撮影です(わぁ~~~~~~)
そこで今回はブツ撮りで役立つお話をしようと思います。
この記事の内容
絞っているのにピントが合っていない?
ブツ撮りで全部にピントを合わせようとF値を大きくしても、全部にピントが合わないってことないですか?
ぱっと見はピントが合っているように見える写真ですが…
どんなにF値を絞って撮影しても、奥行のある物は一部分がボケてしまいます。
「物撮りで全部にピントを合わせたい!」
そんな希望を叶える!撮影手順とPhotoshopで簡単にできる「被写界深度の合成」についてご紹介します。
「被写界深度」とは?
被写界深度とは写真のピントが合っているように見える範囲のことです。
「浅い」とピントが合っている範囲が狭く、ボケ感のある写真に、
「深い」とピントが合っている範囲が広く、全体的にはっきりとした写真になります。
また、被写界深度が深く全体にピントが合っていることを「パンフォーカス」とも言います!
「被写界深度合成」の撮影手順
1.絞りをf8~f16位に設定
ある程度絞っておくことで撮影枚数を少なくでき手間が省けます。
個人的には効率的にF16まで絞っておくと楽に感じます!(フルサイズの場合)
最初からF22とかで撮影すればピントが合うのでは?って思いがちですが、
実は!絞りすぎると回折現象もしくは小絞りボケを起こし、くっきりとした写真にならない現象が起きてしまいます!
(回折現象とは、絞り羽根の裏側に光が回り込む現象)
2.撮影環境や数値は固定
同じ条件で撮影した画像を合成するため、ISO感度やSS(シャッタースピード)は固定のまま撮影します。
ライティングも同様です。
3.手前からピント位置をずらして撮影
明るさや配置が決定したら、被写体へのピント位置を手前から徐々にずらしながら撮影します。
エッジ部分がシャープになるようにピントを合わせていくのがポイントです。
今回の参考写真では手前・真ん中・後ろの3段階で撮影しました。
Photoshopでの「被写界深度合成」の手順
1.Photoshopに画像を読み込む
合成する複数枚の画像をPhotoshopに読み込ませます。
ファイル > スクリプト > ファイルをレイヤーとして読み込み
『参照』からパソコン内にある画像を選択し、『ソース画像を自動的に配置する』にチェックを入れ、OKをクリックします。
2.レイヤーを自動合成
全てのレイヤーを選択し、上部メニューから、編集 > レイヤーを自動合成をクリックします。
合成方法は「画像をスタック」を選び、「シームレスなトーンとカラー」と「コンテンツに応じた塗りつぶしを透明な領域に適用」の両方にチェックを入れて「OK」をクリックします。
Photoshopが自動的にピントの合った部分だけを抽出し、不要な部分をマスクした状態にしてくれます!なんとまぁ賢いこと…
場合によっては手作業での合成も…
今回のように単純な形のものは自動で上手く合成できましたが、
複雑なものになると自動での完成度に納得いかない場合もあります…
その場合は納得いくまで手作業で合成しましょう!気合!
完成!(比較画像)
合成後の方がくっきりキレイな印象です。
WEBで見るとそこまで気にする??って感じかもしれませんが、大きく印刷する場合にはかなり気になってくると思います!
写真の合成の中では地味な作業ではありますが、この地味な作業があってこそより良い商品写真が出来上がります!(時と場合によりますけど)
これで皆さんも、細かい部分が気になっちゃうおばさん(おじさん)になっちゃいますね!
参考
https://www.photografan.com/basic-knowledge/focus-stacking-with-photoshop/