こんにちは。デザイナーの笠井です。
Illustratorで描いたイラストは、きっちりとした線に左右対称でシンプルなものになりがちですね。テイストによってはそれもよいのですが、少しアナログっぽい、手描き風な表現もしたいな、というときもあるはず。
そんなときに、組み合わせて使える様々な効果をご紹介します。
またIllustratorで手描き風アレンジすることのメリットは、様々な効果が後から数値でいくらでも編集可能なところです。直しに強い便利な機能ばかりなので、ぜひ試してみてください。
パスで絵を描く
パスで絵を描いていきます。
こちらは何も効果をつけていない状態のイラストです。これでも少し崩して描いていますが、手描き風には程遠いですね。ではここにいろいろな機能で効果をつけていきましょう。
線に表情をつける
「アピアランス」から「パスの変形」→「ラフ」を選択します。
設定は画像の数値を参考にしてください。「サイズ」は波の大きさ、「詳細」は波の数の多さを表しています。
適用させると、ペンや鉛筆でかいたような線ができました。
後から、もう少しギザギザさせたいなと思ったら、アピアランスの欄のラフをクリックして数値を変えてみてください。
線に抑揚をつける
線にもう少し自然な抑揚をつけるために線幅ツールを使用します。
線の上でクリックしてドラッグするとそこだけ線に幅ができます。内側にドラッグすると線の幅が縮まり、外側にドラッグすると広がります。ちょっと手で力をいれるとできるランダムな線の変化のようにみえるのではないでしょうか。
ボーダー柄や、点線にするとまたおもしろい線ができます。
モチーフのバランスを崩す
もう少し手で描いた時のちょっとくずれた感じが出せたら…でも描きなおすのは大変。
そんな時はアピアランスのワープ機能を活用しましょう。
「アピアランス」→「ワープ」→「円弧」を選び、プレビューで調整しつつ数値をさわってみましょう。
整ったイラストからちょっとラフな感じがでました。
まっすぐきっちり整っているより崩れたかわいらしさがでます。
こちらもアピアランスで調整可能なので、「円弧」だけでなく、そのほかのワープもイラストに合わせて変えるなどしてみるといいと思います。
テクスチャをつかってにじみを表現
線にアレンジを加えイラストが完成しました。
次はテクスチャをいれて、ぺったりした塗りに変化をつけてみましょう。
まず紙のテクスチャを用意します。個人・商用利用可の素材サイトがありますので、今回はこちらの素材をお借りします。
https://free-paper-texture.com/
「watercolor_00010」というテクスチャを使用します。
Photoshopで開き、「イメージ」→「色調補正」→「彩度を下げる」で、彩度を落とし、保存します。
illustratorに戻ります。用意していたイラストの上に、先ほど彩度を落として保存しなおしたテクスチャを重ねて配置します。その後テクスチャの描画モードを「焼き込みカラー」に変更します。
テクスチャを置く際は、レイヤーをわけてロックをかければ下のレイヤーのイラストをテクスチャの効果を適用させながら編集できるので、テクスチャとイラストはレイヤーを分けることをおすすめします。
オブジェクトの上に重ねるだけで、水彩絵の具で塗ったような質感が簡単に再現できます。こういったテクスチャにはぼかし表現が非常にマッチします。より絵の具で塗ったような雰囲気がでるのでおすすめです。
にじみの位置を動かしたい、もっとにじみを濃くしたいなどの直しもできるのでいいですね。紙のテクスチャや鉛筆で塗りつぶしたようなテクスチャなど、さまざまありますので、テイストに合わせていろいろ試してみてはいかがでしょうか。
※背景に塗りを置いておかないと、イラストに重なっている部分以外のテクスチャがそのままみえてしまうのでご注意ください。色をいれたくなければ白い塗りで大丈夫です。
完成!
今回ご紹介した機能は使い方によって他にも様々なテイストの表現を試すことが可能なので、挑戦してみるとより勉強になると思います!