オフィス内ネットワークの通信環境を改善する

オフィス

新年あけましておめでとうございます。
インフラエンジニアのキリヤマです。

年末の差し迫った昨年の12月の半ばから後半にかけて2週間に渡って、弊社オフィスの拡張工事を行いました。
今回はこの拡張工事に併せてネットワークの構成を刷新した際にやったことをお話します。

よくあるネットワークの問題点

弊社のように社内ネットワーク内にファイルサーバを設置している小規模なオフィスは多いと思いますが、そのような環境でファイルサーバが遅いとか、ファイルサーバとの通信が遅いと感じることはないでしょうか?
弊社も例に漏れず、業務で作成したさまざまな形式のデータをファイルサーバに保存する形で運用していますので、大量のデータ通信が日常的に発生しています。
接続する機器や使用する人が増えると、ある程度の規模までは問題なかったネットワークがどんどん快適とはいえない状況になっていき、大きなデータをやり取りすると遅さや不安定さを感じるようになります。

予算が沢山あれば高級な機器に入れ替えるだけでも改善できるかもしれませんが、今回は高価なネットワーク機器を買わずに、ある程度の予算でネットワークの通信帯域を安定的に上げるための対策をオフィスの拡張工事に併せて行うことにしました。

今回やったこと

今回やったことは以下の3つです。

  1. オフィス内のLANケーブルをCAT5eからCAT6aに変更
  2. 無駄に設置されているスイッチングハブを撤去
  3. スマートスイッチを数台導入

CAT5eからCAT6aのLANケーブルのへ変更は、将来的に10GbE化にも対応できる上に、CAT5eからの変更であればケーブルを変えるだけでも多少の通信速度の向上が見込めます。
次に、低性能なスイッチングハブがカスケード接続でポートが足らないところにぶら下げられている箇所があったため、これらを撤去し、できるだけ分岐・分配をしないようにスイッチの位置と経路を考慮しました。

そして、今回の である スマートスイッチ の導入について説明します。

スマートスイッチを使う

社内ネットワークでつかう代表的な機器といえばスイッチです。
ネットワーク機器の中でもオフィス内のあちこちにあり、PCとスイッチ、スイッチとスイッチ、スイッチとルータなど、ネットワークをつなぐ重要な役割を担っています。
そのスイッチにもいくつかの種類があり、大まかに スイッチングハブスマートスイッチインテリジェントスイッチ の3つに分けられます。

スイッチングハブは家庭や小規模ネットワークで接続する機器を増やしたいといった用途に向いていて、機能が最低限な分、価格は安価です。
インテリジェントスイッチはさまざまな設定ができる上に機器自体の性能も高いものが多いですが、その分高価です。
そして、インテリジェントスイッチとスイッチングハブの間を埋めるのがスマートスイッチで、比較的安価でありながらVLANやQoS、リンクアグリゲーションなど有用な機能が豊富に扱えます。

このリンクアグリゲーションの機能を使うと、ネットワーク機器間の通信帯域を上げることができます。

リンクアグリゲーション(Link Aggregation)とは

リンクアグリゲーションとは、複数の物理リンクを束ねて1つの論理リンクとして扱うことのできる技術です。ルーターやスイッチ、NAS間の接続で複数のLANケーブルを同一機器に接続してしまうとループ障害が発生してしまいますが、リンクアグリゲーションを使うと複数のLANケーブルを仮想的に一本の回線と見なすのでループ障害にはなりません。また、この機能には以下のようなメリットがあります。

  • 物理リンクが切れても、他の物理リンクへ自動でトラフィックが振り返られ、通信が継続できる
  • 複数の物理リンクへトラフィックが分散される
  • ケーブル1本での接続より帯域を増やすことができる
  • 帯域を増やすために新たな機器を追加する必要がない

素晴らしいメリットがたくさんありますが、デメリットもあります。

  • 機器間同士で接続するLANケーブルが複数必要で、スイッチのポートも複数使用することになる
  • スイッチに固定IPアドレスの割当が必要
  • 1つの通信において、ポートやケーブル1本あたりの通信速度を超えて通信することはできない
  • 機器・メーカごとに設定方法や、関連する名称・呼称が異なり、わかりにくいことがある

このようなデメリットはあるものの、メリットにはデメリットを上回る十分な価値があります。

ネットワーク接続構成

弊社ではSynologyのファイルサーバ DiskStation DS1817+ を使用しています。オフィス内のネットワークもこのファイルサーバへのアクセスが中心になっています。
この DiskStation DS1817+ にはもともと1GbEのポートが4つ内蔵されていますが、10GbEのポートが2つついたLANボードを拡張スロットに増設して使うことにしました。この10GbEの2つのポートを1つにまとめるボンディングを設定してリンクアグリゲーションに対応させます。
接続するネットワーク機器は、オフィス内の中心となるエッジスイッチにNETGEARのスマートスイッチ GS724Tv3 を、各メンバーのデスクの島やその他の機器の設置の要所にはNETGEARのスマートスイッチ GS308T を使ってそれぞれリンクアグリゲーションの設定を行い、以下の図のように接続しています。

DiskStation DS1817+GS724Tv3GS308T もWebブラウザの設定画面を使ってボンディングやリンクアグリゲーションの設定ができます。基本的に どのポートとどのポートをグループ化するか を選択すればリンクアグリゲーションの設定は可能ですが、ポートの速度、デュプレックスモード、フロー制御、MTU(ジャンボフレーム)サイズを全て一致させる必要がありますので、ご注意ください。

これからも快適を探していく

既存のネットワークを生かしたまま新しいネットワークへ機器や配線を刷新するためにはそれなりの準備と工夫は必要でしたが、大きな問題も起こることなく工事を終えることができました。
オフィスのメンバーが仕事をしている間にも、OAフロアの床をめくってLANケーブルを引き直したり、現状の機器の確認をしたりメンバーの邪魔をしながらの作業となりましたが、オフィスの拡張とともに快適になったネットワークでみんなの仕事が捗ればいいなと思っています。
ただ、帯域が上がったと言っても1つの通信あたりの速度が上がるものではないので、一人一人が体感しにくく、おそらく誰も気がついていないであろうことが残念なところです。

年始とは全く関係のない内容となってしまいましたが、これからもできるだけコストをかけずに業務を快適にできるものを探して導入していきたいと思います。